HYBE会長パン・シヒョク氏、証券不正取引の疑いで刑事捜査の対象に 4,000億ウォン規模の疑惑、終身刑の可能性も

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韓国金融監督院(FSS)は5月28日、エンターテインメント大手HYBEの会長パン・シヒョク氏に対して、証券取引に関する不正の疑いで刑事告発の準備を進めていると報じられました。問題となっているのは、約4,000億ウォン(約420億円)規模の株式取引で、資本市場法に基づく重大な違反が問われているとされています。

関係者によると、FSS捜査2部は、2019年にパン氏がHYBEの既存株主に対し「IPOの計画はない」と虚偽の説明を行ったとされる証拠を確保。この発言を信じた投資家は、パン氏と関係のあるプライベート・エクイティ・ファンド(PEF)に株式を売却しました。

しかしその裏で、HYBEは指定監査人の選定など、上場に向けた具体的な準備を進めていたと報じられており、説明と実態が食い違っていた可能性が浮上しています。

報道によれば、パン氏はPEファンドと利益分配契約を結び、IPO後の株式売却益の約30%を取得。その結果、最終的に4,000億ウォン超の利益を得たとされます。こうした取引内容は、HYBEのIPO関連の公式書類には記載されておらず、情報開示義務違反の疑いも浮上しています。

FSSは、こうした行為が資本市場法で禁じられている「不公正取引」に該当する可能性が高いと判断。事件は情報開示違反から、不正取引の本格捜査へとシフトし、検察への通報準備が進められています。加えて、ソウル地方警察庁の金融犯罪捜査隊も独自に捜査を行っている模様です。

パン氏とHYBE側は「すべての取引は法的な審査を経ており、違法性はない」と主張していますが、捜査当局はHYBEが2019年11月にEY Hanyoungと指定監査契約を結ぶなど、実際には上場を強く意識した行動を取っていた点を問題視しています。

さらに、パン氏は2020年にSTICインベストメント、Easton PE、New Main Equityなど複数のPEファンドと契約を結び、IPO成功時の利益分配や失敗時の株式買い戻し条項を含んでいたとされ、意図的な計画性があった可能性も指摘されています。

金融業界関係者はこの事件について「IPO準備段階での不正取引として典型的なケースだ」とし、厳格な規制強化の必要性を訴えています。特に、非公開で行われた利益分配契約は、資本市場における投資家の信頼を著しく損ねかねないと懸念されています。

資本市場法第443条によると、不正取引による利益が50億ウォンを超える場合、終身刑または最低5年の懲役が科される可能性があり、今回の案件は韓国市場における透明性とガバナンスのあり方に大きな影響を与える見通しです。


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